「生涯発達」とは
「発達」というと,子どもから大人になる課程までのことのようなイメージだし,大人になってからは「成長」というよりも,「老化」というイメージの方が強く,いまは「アンチエイジング」などという言葉で,なんとなく年をとることへの否定的なイメージがある。
しかし,人間は生まれた時から確実に死に向かって生きているし,平均寿命などと言うもので均されてしまっているいるが,一人一人の寿命や生き様は,平均できるようなものではない。一生が早く終わることもあれば,長いこともある。それさえもとても個人的なものなのだと思う。
だからこそ,発達というものも,個人差があって当たり前であり,「何歳だからこうあるべき」なんてものは存在しない。研究によって明らかになっている発達段階はあくまでも目安であり,そもそも「こうあるべき」基準として研究が進んできたわけではない。
そう考えても,「発達」は個人的な時間の長さと関連し,さらにそれぞれの環境に影響されて,生まれてから死ぬまで「発達」し続けるのだと思って人間を理解していくことの重要性に気付かされる。
そうなってくると,「子どもだから幼い」,「高齢者だから弱い」などという概念さえもないのだということに気付く。
一人一人の人生にはまったくどこにもモデルは存在しないということを忘れてはいけない。ともすれば情報に影響されて翻弄される社会である。
自分は一人しかいないということにもっと目を向けていかなくてはならないのだと思う。
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